時計台の燭台:あらすじ&登場人物紹介

山梨県の旧家・牧野家の敷地の奥には、明治時代に建造された時計台があった。
約百年前、当時の当主の妾が炎に包まれて死んだというその時計台は、三十年前に最後の鐘を鳴らして以来、鐘だけは沈黙したままだった。

地方の名家・牧野家の遠い親戚筋の川端拓海と、牧野家の令嬢、牧野瑞希は、幼い頃から惹かれ合いながらも家柄の格の違いと親族の目に阻まれて、公にはできない曖昧な関係を続けていた。

そして年に一度の祭りの前夜、牧野家の屋敷には親族たちが集まり、土地や相続をめぐる不穏な空気が満ちていく。

やがて夜十時。
三十年ぶりに時計台の鐘が大きく低く鳴り響き、屋敷の全員が塔を見上げたところ、その露台に火だるまの人影が現れる。
衆人監視の中、その炎の影は悶えるように暴れて、やがて手すりを乗り越えて闇の中に転落していく…

そして屋敷の者たちが時計台に駆け寄ったところ、そこには焼けた死体だけが残されていた。
しかし、その火だるまがあらわれた前後の時間、屋敷にいた者たちは誰ひとりとして時計台へ行き来する時間はなかった。

これは果たして、過去に自ら火をかぶって焼け死んだ妾の怨念か。
それとも幽霊のように姿なき何者かが、人を燭台に見立てて焼いたのか?
それとも…?

堀と山林に囲まれた旧家。
過去から現在へと続く炎。
そして牧野家に残されているという財宝の伝承。

拓海と瑞希の二人は、牧野家が隠してきた秘密へと足を踏み込んでいく。

時計台の燭台:登場人物紹介

  • 川端拓海:23歳
    自営業者。牧野瑞希の遠い親戚。
  • 牧野瑞希:23歳
    地方名家・牧野家の令嬢。拓海の遠い親戚。
  • 牧野宗一郎:50歳
    瑞希の父。牧野家当主。広大な山林を保有する資産家。
  • 牧野和樹:27歳
    宗一郎の息子。広告会社経営者。次期当主候補の筆頭。
  • 森拓己:28歳
    元モデル。自称フリーランス。
  • 牧野裕治:48歳
    経営者。宗一郎の弟。達弥の父。
  • 牧野達弥:26歳
    裕治の息子。裕治所有の複数会社の専務。
  • 中野かすみ:25歳
    高校教師。達弥の婚約者。
  • 藤井実:39歳
    不動産デベロッパー。
  • 安田あきこ:25歳
    匿名制シーシャバーのキャスト。
  • 阿部時尾:50歳
    山梨県警警部。
  • 三田村光明:50歳
    著名な講師。

⇨第一章:ともしびの声